センチメンタルの帰る先

冬の夜。

感傷的な気分は、痒みに似て、致命傷ではない心残りを刻む。

感情に限界はないが、傷には限度がある。

その蓄積は、何をもたらすのか。

 

人には帰属意識がある。動物には帰巣本能がある。みな、潜在的に帰る場所を求めている。感傷はそれを強く想起させる。注意すべきは、目的地が存在しなくても、作用は発動してしまう、という点だ。帰りたいという気持ちと、帰る場所があるということは同義ではない。その当然の不一致を忘却させ、迷子にする構造的欠陥が心にある。

 

さあ、未来に帰りましょう。