宝籤売り場しかない

損得勘定を始めると何もできなくなって、かえって非効率です。

一歩家を出れば、無限の選択肢に迫られて、足の踏み出し方一つとっても、最大効率を達成できる歩き方、ルート、服装を選ばなくてはなりません。

人との会話なんて、その最たるものです。シミレーションゲームの僅かな選択肢でさえその後キャラクターの命運を左右しているというのに、何故か実世界では、人はそれを捨象して話をします。本来、スーパーコンピュータの演算機能でも処理しきれないような問いかけが、人生には溢れている。

人の脳は優秀などんぶり勘定で、これらを回避します。つまり、一定基準以下の選択肢についてはなかったものとして無視するのです。考えないことが理性の頂点。ただし、取り上げる問題と無視する問題との境界線はアバウトで、採用閾値が気分や経験、その他外的環境で大きく変化します。

当然です。だって同じ問いかけなんて世の中には存在しないから。

1+1の解だって、実は毎回違うんですよ。二進数や十進数といった前提条件の違い、記載された2の文字の太さ、歪み、解答欄に占める大きさ。みんな違ってみんないい、なんて誤魔化しきれないくらい、画一化できないのが現実なわけで、その事実を恐れるくらいなら、気が付かないほうが幸せだ、と、理性は苦しい引き分けを選んだのです。

批判しない天才に幸あれ。