個人情報反故

不動産投資の電話が至るところからかかってくる昨今。電話番号をどこで入手したか尋ねると、所謂名簿業者でした。入手経路については知らないと。知ったことではない、という口調であったし、実際知ったことではないだろう。対価を払って契約に基づいて個人情報という商品を買ったのだから。例え盗品であろうと、金を払って買った時点で、悪意でないのなら堂々と所有権を主張するでしょう。

個人情報の保護に関する法律は、あらゆる業種業界に影響を与えすぎることを考慮してか、いくらか消極的だ。同意に代わる措置を取れば、本人から交渉しない限り、現行制度ではほぼ自由に個人情報を商品化できてしまう。そして情報を売られた個人も、内心腹立たしく思いつつ、何を根拠に同意したのかもはっきり思い出せず面倒になり、然るべき手続きに移行せず、どう考えても意味のない愚痴を電話口の相手と家族に漏らすだけ。少し頑張ったところで、名簿業者に苦情を入れる程度だろう。業者が”善意”で取扱いをやめたところで、転売禁止の特約でもない限り、一度発信された個人情報は至る所に拡散するに違いない。その収拾をつけるまでの義務を名簿業者に課そうとするなら、当初同意内容について法的解釈に基づく議論を行い、その次に損害賠償等の算定を行って、やっと裁判ができて、そのさらに後の話となる。

個人情報保護を徹底するなら、産廃と同じようにマニフェスト制にしてしまえばいい。

初めに情報を取得した業者Aは、販売先業者Bと契約し、転売を禁止して、適切に管理するようにする。情報を引継いだ業者Bは、A社との契約時に、情報の取得正当性、根拠を書面で確認し、もしも個人本人から求めがあれば、このプロセスについて説明義務を負うものとする。仮にA社の個人情報の取扱いに違法性があれば、B社は当然にその個人情報を破棄すべきであり、そのことに伴う損害賠償はA社がBに対して行う。要するに名簿業者排除法だ。しかしそんな法律はきっと整備されないので、登録者以外からの電話は無条件で着信拒否とするのがよいでしょう。