このレール敷いたの誰

誰かの敷いたレールを辿るのは嫌というけど、レールが敷設されたことのない足場を探すのなんて困難です。それより、歩き方を考えませんか。

例えば執筆。誰も使ったこのない稀有な言葉を選んでいたら、一向に筆が進まない。この世は先人たちの遺物であって、息のかかっていないモノなんて限られている。どうせ一方的に相続されたのだから使わないと損なわけで、人生に著作権はないのだから、二次創作もアレンジもSSも気兼ねなくやってみればいい。

とはいえ、無数に伸びるレールを目で追ってしまうのは仕方ない。その線路がどこに繋がっているか、気になるのが性というもの。ただ、人生は不意な車線変更が繰り返されるもの。途中の通過駅が一緒でも、いつの間にか本線を離脱していたり、また戻ってきたり、そのことに最後まで気が付かなかったり。実物のレールと違って、意識しないと見えない透明なレールなので、こんなことが頻発します。乗り合わせている人が、途中で下車してしまうかも。こうなると本人の拘りではどうにもならない範囲の問題。

結局、誰かが敷いたレールにしがみ付くことの方が不可能。どんなレールに乗ってしまったとして、車窓から目を背けないようにしましょう。