オフバランスされる情熱

大変なことが起こりました。

ニュース記事にコメントすることに飽きました。早い段階からこうなることは予見していたのですが、ここまで早いとは驚きました。三日坊主になることが夢だったので、今回は我慢して前回同様の方式で書きますが、次回以降どうしようか。堪え性の無さは天性のものですが、それ以上に致命的なのが、世間の動向に関心を持てないことです。小学校時代、テレビ番組の冒頭10分だけを見せ、直後感想文を書かせる、という奇特な指導方針を操る教諭がいらっしゃったのですが、これには多くの生徒が苦戦しました。想像力の塊とも揶揄される少年少女を打ち砕くほど堅固な無関心を、このシステムが放っていたからです。映像作品として完成されている、つまりは全体を通して感想を抱くことを想定して作られているモノをぶつ切りにして見せ、挙句感想を求めるなんて、作者への冒涜ですよね、なんて屁理屈めいた言い逃れもできない若人たちは、無理難題に直面して抵抗できない自分たちの捏造された非を素直に恨むのです。

話が逸れましたが、社会人としてあるまじきことに、時事ネタを知らないし惹かれない人間としては、感想を持とうとすること自体がストレスであったりする。俗語で、これを苦手というらしい。自分が興味を持つことだけにしか反応しない幼稚な精神が成人してしまうと厄介なものです。自己弁護はしないですが、無自覚の共犯者は多いと思う。

 

さて、今日で最後になるかもしれないネットニュースシリーズ。題材記事は「日立、英原発建設凍結=今期3000億円の特損計上―完全撤退も視野」です。

まず特損と言われて、どれほどの人がすんなり嚥下できるのか。簿記とか企業会計に関与する業務経験がない人に、どれほど正しく意図が伝わっているのか。記事の見出しを責めているわけではありません。むしろ、それこそ小魚の骨のように引っかかって、これをきっかけに本文を見てくれるなら、策士だ。それにしても漢字が多い。あと金額も大きい。でも、この3000億円よりも、昨日買った158円の小麦粉が今日になって108円に値引きされていたことの方が心理的ダメージが大きい。当事者じゃないから当たり前ですか。確かに。そこで疑問なのが、まるで当事者が如くこうした記事に噛みついたり説教したり意見したりする人々が存在することです。コメンテーター等の職業を除き、一体何が彼らの言動をそこまで強烈に感化するのか。

嫉妬。義憤。承認欲求。自己投影。感動の根拠は無数に溢れている。そして何故か誰も「この記事は嘘だと思う」とはコメントしない。謎の共通見解。みんな真面目に、同じ枠組みの中で熱弁を振るう。

いよいよニュースと関係なくなっている。ちゃんと感想を……。

日立のCMが好きです。あとこの記事からは、どういう経理処理で特損が3000億計上される見込みなのかわからなかったので、少しもやもやしました。あとあと、クビを切る、派遣止めする、というダーティな現実を「人員を縮小する」と換言する綺麗な日本語表現を垣間見ました。