五感を信じるな

第六感を信じますか。 常識的に考えれば、あるに決まってます。眼・耳・鼻・肌・舌、頭部に集まった数か所の器官だけにしか情報を察知する能力がないなんて不自然でしょう。リスクヘッジとれてなさすぎる。 この目で見たもの、この耳で聞いたことだけが真実…

穴を掘ってセメントを流せ

日常に潜む恐怖。ルーティン作業のような毎日に限られた時間が奪われていく。本当は何人にも時間を奪うことなんてできないわけで、時間が自働的に流れている(主観的には、”失われている”)だけなのに、やるせなさが不意にやってくると、どうしようもない焦…

このレール敷いたの誰

誰かの敷いたレールを辿るのは嫌というけど、レールが敷設されたことのない足場を探すのなんて困難です。それより、歩き方を考えませんか。 例えば執筆。誰も使ったこのない稀有な言葉を選んでいたら、一向に筆が進まない。この世は先人たちの遺物であって、…

至るところに病

病気は気の仲間。人類の性として、カテゴライズ(細分化)は避けがたく、結果、病気の数は年々増えていきます。発見とは即ち、名前を与え、切り取る作業。 病とわかると、何故か安堵することがあります。病だけでなく、何かしらの不調に対して原因が提示され…

一億総平民、ただし××を除く

職業に貴賤の差がない、と主張する必要が生じた背景をご存知ですか。 平等を謳う言葉は大抵、ある特定の集団に対する思惑のもとに発せされます。聞いていて心地よいと思う、貴方に対してです。 水商売や消費者金融、宗教家など、他の職種に比べて批判される…

共感の忘れ方

共感しているつもりの貴方と、共感されたことになったその人とは、ただ近い振動数で震えているだけかもしれませんが、世の中にはこのような関係性を好む方が多くいます。共感する力、なるものが、能力の一つだとも。 コミュニケーションを図るという水際外交…

汎成果主義

年功序列は悪者か。 答え、歳を重ねるほど良い制度。 およその人はポジショントークでしか物事を語ることができませんし、それが自然。どの評価基準が最善かなんて、個々の判断です。例え絶対主義でも。 昨今は年功序列を日本型雇用の代名詞みたいに吹聴され…

全てが罪になる

原罪は錯覚だ、というと宗教批判的だけれど、理性は基本的に保守的思考だから、何らかの罪を背負っている設定には、得心の行く人も多いと思います。日常の些末な事象に、自らの非がなかったか検証していけば、否定できない可能性が高い、と、このように言い…

ラベルを貼りかえろ

まずは全てのことを信じてみる。 現代は庶民の多くが社会批判に参加する時代ですが、これは社会への絶大な信頼の裏返しです。食品偽装が強く糾弾されるのは、食品表示を国民が無条件に信頼してきた証です。一度でも信じてもらわなければ、裏切ることだってで…

深淵を覗くと深淵でなくなる

上司。すれ違う人。一緒にご飯を食べる人。逮捕されてニュースになる人。 人。人。人。人は人をどんな風に見ているのか。 人と人との関係は、人によって違うわけで、それぞれの目が、それぞれの関係性を決めている。大量の目。人の数よりも多い目。この瞬間…

刹那が廻る

一年の終わりと一年の始まりは同じ、というのはトリックです。 そんな筈はなくて、時間の矢は放たれたまま。 ただし、一瞬の出来事が複数個連続する関係において、内挿をとる手法は認められているわけで、矢の軌道経過は、都合よく解釈した方が気持ちが楽で…

躍動の残骸

雪が積もっている。 マンションよりもタワービルよりも高くからきらきらと光を反射させて落ちてきたそれが、同じように落ちてきた残滓たちにくっついて、それが無数に結束して、白い厚みになって、でもそれは排ガスに塗れて、あるいは踏みつけられて、薄黒く…

宝籤売り場しかない

損得勘定を始めると何もできなくなって、かえって非効率です。 一歩家を出れば、無限の選択肢に迫られて、足の踏み出し方一つとっても、最大効率を達成できる歩き方、ルート、服装を選ばなくてはなりません。 人との会話なんて、その最たるものです。シミレ…

終らない伝言ゲーム

恣意性のない情報なんてありません。 データは抽出方法や母集団の選定で変わります。グラフだって色彩や形で巧みにデータを変形させます。そも、情報を取得しようとする我々が恣意的な生物なのだからどうしようもない。 人づてに聞いた話なんて、最早フィク…

建前の後

本音と建前。 建前という共通言語が存在するお陰で、立場が異なる人たちの意思疎通が表面上は成立します。これを低次元で行っているのが敬語とか業界用語だと思います。意味的に形式化された表現というのは、結構貴重です。倫理観とかは建前に近いですね。 …

ゴーイングコンサーン

一人住まいを考えると、賃貸か購入か、という二択に悩む場面があります。 多くの場合、~年以上住むなら購入したほうがお得だ、という推論が導かれて、一見問題が解けたように錯覚しますが、実はもう一つ、与式には条件が必要であって、そのことに気がついて…

欠乏のしっぽ切り

衣食足りて礼節を知る、なんて当たり前。 マズローの五段階欲求。衣食住が確保され、安全が確保され、好ましい組織に所属、もしくは関係し————さらに諸条件が整えば社会的に貢献もするし、自己実現にも努めるそうです。 確からしい理論ですが、甘えるな、と…

嫌味成分が含まれています

○○を忘れるのは、○○を大事に思っていない証拠ではないか。 こんな疑問形に粉飾した叱責、耳にしたことないですか。 仕手が結論ありきで問いかける行為は、嫌味成分の含まれている場合が多い。 上述の質問に対し、事実に即して「はい、○○を大事に思っていない…

夢の前

夜は想像意欲の涌く神秘の時間。 それが危険なほどの域に達するのが、睡眠間近。現を抜け、理想の幻影を目前にして空想することは、あまりにも純粋な欲求。大事な決断は夜しないほうがいい。貴方が明日戻らなくてはいけない世界は、純粋さとは対極をなす、複…

幸せの伝播

幸福って言葉を濫用すると胡散臭くなるのはなぜでしょうか。 それはさておき、他人の幸を見て不幸になる人は少ないのではないかと思います。そこには、幸せな人で囲まれた環境に身を置くことが幸せに繋がるのでは、という確度の弱い期待と、幸せな人は、きっ…

心地よいノイズ

世界は音に満たされている。 トラック、空調、隙間風、警報、鳴き声、会話。どこまでが環境音として許容されるでしょうか。害獣とペットはどう違いますか。ユーモアと駄洒落の境界はどこですか。 贅沢を容易に得る方法は、感性を曲げることです。好悪の軸を…

センチメンタルの帰る先

冬の夜。 感傷的な気分は、痒みに似て、致命傷ではない心残りを刻む。 感情に限界はないが、傷には限度がある。 その蓄積は、何をもたらすのか。 人には帰属意識がある。動物には帰巣本能がある。みな、潜在的に帰る場所を求めている。感傷はそれを強く想起…

大量の孤人

個人情報の取扱いがかなり五月蠅い昨今です。 書類や確認作業が増えるのと比例して、人は確立されていきます。一度個人として切り出された有象無象は、再びくっつけようとしてもなかなか溶け込まず、現代は1人がたくさん存在するだけの集落と化しています。 …

衝突する善意たち

人は基本善人です。 綺麗事? 綺麗なことが好きなのは当然でしょう。 世迷言? 迷うも何も目的地が見えないでしょう。 冗談はさておき、人は自分が善いと思ったことを優先的に実行するものです。だって悪いと思いながら実行するのはかえってストレスフルです…

週末死相

労働は麻薬のようです。 みんな働きたくて仕方ないから就職活動を頑張ります。そしてめでたく労働者階級へ。 仕事が残ると意地でも終わらせたくてサービス残業だってする。仕事大好きですからね。しかし週末、冷静になり、こんなことやりたくない、と思い、…

セレンディピティの招きにあひて

月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也————。 人は常に時間を旅する浪人です。時空の矢は止まることなく、我々は無数の選択を繰り返し、旅先を決定しています。前を向いていても、後ろ髪を引かれても、どちらにしても停滞はできないのです。 なお、方…

アスタリスクの亡霊

後書き、注釈、なお書き、補足、参考、注意事項————。 ときに本編よりも意味を持ってしまうことがある。気になると、あとは永久機関のように猜疑心が涌いてきて、迷走しがち。文章に限った話ではなくて、本筋以外のところに意図せず注目が集まり、それが想定…

過去がやってくる

どんな宗教も、地球カレンダー基準では、ほんの数秒前に誕生した新参。 神様が宇宙を創った、と言い出した連中は、一体どの程度の”小宇宙”を想定していたのか、現在観測、提唱される宇宙より、随分小規模なものだったに違いない。 追究するほどに、無限はよ…

白紙の遺言

人は何かを残したい。 死後に遺物を残すことで、生の意味を検証したがる。 地位や名誉や資産や子孫や。特にDNAは便利だ。結局明確な”証”を残せかったとしても、DNAさえ次の世代に繋いでしまえば、問題を先送りされる。 無限に続くモノなんて残しようがないけ…

世界の社畜より

人は生まれながら使役される欲求を持っている。サルトル曰く「自由の刑に処されている」らしく、潜在的に支配者を求めるから、いつの世も、独裁者は迎えられるのだ。 命令に従えば考えなくていい、という低次の理屈に重ねて、自分の哲学が未完成だが何かに向…